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強度行動障害支援者養成研修と行動援護従業者養成研修の違い

強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践)と行動援護従業者養成研修は、別の研修です。ただし、行動援護の従事要件では、行動援護従業者養成研修の修了と、強度行動障害支援者養成研修の基礎研修+実践研修の修了は、どちらでも要件を満たす扱いになります。つまり「行動援護の仕事に就く」という目的に限れば、2つは読み替えられます。

読み替えには条件があります。強度行動障害支援者養成研修は、基礎研修だけでは足りません。基礎と実践の両方が必要です。さらに、どちらの研修を修了しても、それだけでは行動援護に従事できません。直接支援業務の実務経験も必要です。

この記事では、2つの研修の違いを、時間・内容・使える場面・従事要件・加算の扱いの順に整理します。制度の事実と、ぼくの見解は分けて書きます。

結論:目的が違う2つの研修

先に違いを一言でまとめます。

  • 行動援護従業者養成研修:行動援護というサービスに従事するための研修です。24時間(講義10時間・演習14時間)で、1本の研修で完結します。
  • 強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践):強度行動障害のある人を支援する職員の支援力を高めるための、2段階の研修です。基礎研修と実践研修に分かれています。

前者は「サービスの従事資格」の色が濃く、後者は「支援者の養成」の色が濃い研修です。ただし行動援護の従事要件では、後者の基礎+実践が前者と並べて認められています。この「並べて認められている」点が、読み替えと呼ばれる部分です。

2つの研修の位置づけ

行動援護従業者養成研修とは

行動援護は、知的障害や精神障害により行動上の困難があり、常時介護が必要な人を支援する障害福祉サービスです。外出時の移動の支援や、行動の予防・対応に必要な支援を行います。この仕事に従事するために必要な研修が、行動援護従業者養成研修です。

研修時間は24時間で、内訳は講義10時間・演習14時間です。講義は4科目、演習は7科目で構成されます。都道府県などの指定を受けた事業者が実施します。

強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践)とは

強度行動障害支援者養成研修は、強度行動障害のある人への支援に関わる職員を対象にした研修です。基礎研修と実践研修の2段階があり、基礎を受けてから実践に進むのが基本の流れです。

基礎研修と実践研修は、どちらも講義と演習で12時間です(厚生労働省の資料、令和4年11月)。都道府県が実施する研修で、受講できる人の条件や日程、科目の内訳は、各都道府県の案内で確認してください。

なお、強度行動障害のある人への支援そのものや、研修をオンラインで受ける方法は、別記事で扱っています。詳しくは強度行動障害の研修をオンラインで受ける方法を見てください。

比較表:時間・内容・使える場面・従事要件

項目行動援護従業者養成研修強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践)
目的行動援護サービスに従事するための研修強度行動障害のある人を支援する職員の養成
構成1本の研修(24時間)基礎研修と実践研修の2段階
時間数24時間(講義10時間・演習14時間)基礎研修12時間+実践研修12時間(いずれも講義+演習)
内容講義4科目、演習7科目講義と演習(科目の内訳は都道府県の案内で確認)
行動援護の従事要件修了で要件の一部を満たす基礎+実践の両方の修了で、同じ扱い
修了だけで従事できるかできない(実務経験が必要)できない(実務経験が必要)
事業所の加算重度障害者支援加算(Ⅱ)(Ⅲ)で、実践研修と同じ扱い実践研修の修了が、重度障害者支援加算(Ⅱ)(Ⅲ)などの要件に関わる

強度行動障害支援者養成研修の時間数は厚生労働省の資料、行動援護従業者養成研修の時間数は都道府県が公表しているカリキュラムによります。

行動援護の従事要件での扱い

従事要件の部分は、2つの研修を比べるうえで一番大事なところです。ここは次のとおりです。

ヘルパー(従業者)の場合

次の2つを両方満たす必要があります。

  1. 行動援護従業者養成研修の修了。または、強度行動障害支援者養成研修の基礎研修+実践研修の修了
  2. 知的障害者・障害児・精神障害者への直接支援業務の経験が1年以上、かつ180日以上

サービス提供責任者の場合

研修は、ヘルパーと同じです。実務経験が、3年以上かつ540日以上になります。

この要件は、豊中市の資料をもとにした一般的な内容です。数字や運用は更新されることがあるため、最新の内容は公式資料で確認してください。最終判断は、事業所の指定権者(指定を出す自治体)が行います。

読み替えで気をつける3点

  • 基礎研修だけでは足りません。基礎+実践の両方を修了して、はじめて行動援護従業者養成研修と並びます。
  • 修了証があっても、実務経験は別に必要です。無資格・未経験から研修を受けることはできますが、行動援護の仕事に就くには、直接支援業務を積む必要があります。
  • 介護保険の訪問介護のサービス提供責任者とは別の話です。介護保険の訪問介護のサ責は、介護福祉士、実務者研修修了者などが対象です。障害福祉のサ責の要件は別なので、混ぜないでください。

加算での扱いはどうなっているか

事業所の運営では、研修の修了が加算の算定に関わることがあります。強度行動障害のある人を受け入れる事業所では、強度行動障害支援者養成研修の修了者の配置が、加算の要件に入っている場合があります。行動援護でも、従事要件のほかに、報酬上の扱いがあります。

たとえば重度障害者支援加算(Ⅱ)(Ⅲ)では、支援計画シートなどを作る職員について、強度行動障害支援者養成研修(実践研修)と行動援護従業者養成研修のどちらかを修了していれば要件を満たすとされています(令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.2、令和6年4月5日)。ほかの加算でどちらの研修が要件になるかは、サービスの種類や報酬改定で変わります。算定の判断は、必ずその年度の報酬告示と指定権者の案内で確認してください。

もう一つ、確認が必要な点があります。行動援護従業者養成研修の修了者が、強度行動障害支援者養成研修の修了者として扱われるかどうかです。従事要件では、強度行動障害支援者養成研修の基礎+実践が行動援護従業者養成研修の代わりになります。加算の要件では、上の重度障害者支援加算のように、行動援護従業者養成研修の修了者が実践研修の修了者と同じ扱いになるものがあります。ほかの加算でも同じ扱いになるとは限りません。事業所の管理者は、加算の算定が絡む場合、この点を指定権者に確認してください。

内容の違い:行動援護従業者養成研修のカリキュラム

行動援護従業者養成研修のカリキュラムは、次のとおりです。

講義(4科目・10時間)

  • 基本的理解:2.5時間
  • 制度及び支援技術の基本的な知識:3.5時間
  • チーム支援:2時間
  • 生活の組み立て:2時間

演習(7科目・14時間)

  • 情報収集と記録の共有:1時間
  • 固有のコミュニケーション:2.5時間
  • 背景にある特性の理解:2.5時間
  • 障害特性の理解とアセスメント:2.5時間
  • 環境調整による支援:3.5時間
  • 記録に基づく支援の評価:1時間
  • 危機対応と虐待防止:1時間

演習が14時間で、全体の半分以上を占めます。特性の理解、アセスメント、環境調整、記録による評価、危機対応と、現場の支援の流れに沿った構成です。

強度行動障害支援者養成研修の基礎・実践の科目の内訳は、実施する都道府県の案内で確認してください。ぼくの見解ですが、名前から想像した内容で比べるのは危険です。科目名と時間数を並べて、同じ内容が重なっている部分と、重なっていない部分を自分の目で見てください。

どちらを受けるか:ぼくの見解

ここからは制度の事実ではなく、ぼくの見解です。選び方は、目的で決まります。

行動援護の仕事に就きたい人

行動援護従業者養成研修を1本受けるのが、わかりやすい道です。研修が1回で完結するからです。強度行動障害支援者養成研修の基礎+実践でも要件は満たせますが、基礎を受けてから実践を受ける2段階になります。実施時期は、都道府県の研修日程に左右されます。

行動援護従業者養成研修は、民間の指定事業者でも開講しています。受講料の相場は、3万〜5万円台の幅に収まることが多いようです。時期と料金は、申し込む前に各校の案内で確認してください。

すでに強度行動障害の支援に関わっている人

生活介護、グループホーム、施設入所などで、強度行動障害のある人を支援している職員は、まず強度行動障害支援者養成研修の基礎・実践を検討する価値があります。事業所の加算や、職員配置の要件に関わる場合があるからです。そのうえで行動援護にも関わりたいなら、基礎+実践を修了していれば、行動援護従業者養成研修を受け直さなくても、従事要件は満たせます。

事業所の管理者

管理者は、「職員に何を受けさせると、何が満たせるか」を表にしておくと、迷いません。たとえば次の3点です。

  1. 行動援護の従事要件を満たすために必要な研修と実務経験
  2. 加算の算定に必要な研修(上の「加算での扱い」を参照)
  3. 職員が実務経験を積む期間と、その間の配置

研修の修了と実務経験は、別々に進みます。修了証だけ先に揃えても、実務経験が足りなければ、行動援護には入れません。採用の計画を立てるときは、実務経験の積み方まで含めて考えてください。

当講座の行動援護従業者養成研修

ベストウェイケアアカデミーの行動援護従業者養成研修は、大阪府の指定を受けています。大阪府の指定番号は「行動援護1」です。民間の学校では、大阪府で初めての開講です。

  • 形式:完全オンラインです。講義は自宅で動画を視聴します。演習は自宅からZoomで2回受けます。学校に来る必要はありません。
  • 演習の時間:各日9:30〜17:30です。休憩時間以外は、カメラをオンにします。
  • 受講料:44,000円(税込)です。教材費と修了証の発行費を含みます。
  • 補講:無料です。
  • Zoomが不安な人:無料のZoom練習会があります。申込は不要で、約1時間、入退室は自由です。演習の前に受けられます。
  • 受講資格:無資格・未経験から受講できます。
  • 修了証の再交付:5,500円です。

日程は、次のとおりです。

コース演習日
2026年11月 土曜コース11/14・11/28
2026年12月 土曜コース12/12・12/26
2027年1月 水曜コース1/20・1/27

日程は変わることがあります。最新は行動援護従業者養成研修の講座ページで確認してください。複数名で申し込んでも、割引はありません。

当講座で開講しているのは、行動援護従業者養成研修です。強度行動障害支援者養成研修の開講予定は、この記事では案内していません。

よくある質問

強度行動障害支援者養成研修の基礎研修だけで、行動援護に従事できますか

できません。行動援護の従事要件で認められているのは、強度行動障害支援者養成研修の基礎研修+実践研修の両方の修了です。そのうえで、直接支援業務の実務経験(ヘルパーは1年以上かつ180日以上)も必要です。最終判断は事業所の指定権者になるため、最新の内容は公式資料で確認してください。

行動援護従業者養成研修を修了すれば、強度行動障害支援者養成研修は免除されますか

行動援護の従事要件の上では、どちらか一方で足ります。ただし、加算の算定や事業所の配置要件で、行動援護従業者養成研修の修了が強度行動障害支援者養成研修の修了として扱われるかは、重度障害者支援加算(Ⅱ)(Ⅲ)では、どちらを修了していても要件を満たすとされています。ほかの加算は、事業所の指定権者に確認してください。

行動援護従業者養成研修と強度行動障害支援者養成研修は、どちらが時間が長いですか

行動援護従業者養成研修は24時間(講義10時間・演習14時間)です。強度行動障害支援者養成研修は基礎と実践の2段階で、基礎研修・実践研修はどちらも12時間で、合わせて24時間です。合計時間だけでなく、受講の回数と日程の組みやすさも比べてください。

無資格・未経験でも行動援護従業者養成研修は受けられますか

当講座では、無資格・未経験から受講できます。ただし、修了したあとに行動援護の仕事に就くには、知的障害・精神障害のある人などへの直接支援業務の実務経験が必要です。研修を受ける時期と、実務経験を積む時期は、別に計画してください。

申込・日程の案内

行動援護従業者養成研修の最新の日程と申込は、行動援護従業者養成研修の講座ページで受け付けています。Zoomが不安な人は、無料のZoom練習会もあります。問い合わせは電話かLINEで受け付けています。

まとめ

  • 行動援護従業者養成研修は24時間(講義10時間・演習14時間)で、1本で完結する研修です。
  • 強度行動障害支援者養成研修は、基礎研修と実践研修の2段階です。時間数とカリキュラムは公式資料で確認が必要です。
  • 行動援護の従事要件では、行動援護従業者養成研修の修了と、強度行動障害支援者養成研修の基礎+実践の修了は、どちらでも認められます。基礎だけでは足りません。
  • どちらの研修でも、修了だけでは従事できません。ヘルパーは直接支援業務1年以上かつ180日以上、サービス提供責任者は3年以上かつ540日以上が必要です。
  • 加算で求められる研修は、制度ごとに違います。算定の判断は、最新の報酬告示と指定権者の案内で確認してください。

行動援護の仕事が目的なら、ぼくは行動援護従業者養成研修を1本受ける道をすすめます。強度行動障害の支援に関わる職員の加算や配置が目的なら、先に事業所の要件を確認してから選んでください。